深作時間

今日、ちょっとした旅行の帰りに母校である大学の街で夕食をとった。大学入学から数えて丁度10年である。10年もたてば色々変わるが、この街は郊外ということもあってさほど変わっていなかった。

大学を卒業してから、就職、結婚、出産、育児、転職、そして2度目の出産をむかえようとしている。でも、卒業してからの今現在は今の僕とは未だ地続き。昇華しきれていない。そのくらいこの6年は薄い灰色みたいな時空だ。

それとは決定的に違ったこの東大宮での4年間は、自分で完全にコントロールできた時間。本当に素晴く美しかった時間を取り戻すかのように、彩鳳で600円の焼肉定食を注文した。

首を回しながら中華なべを回す彩鳳のおっさん。すごい量の白米。やたら濃い味付け。片栗粉のぬるいスープ。だべっている貧相な姿のみるからに決定的に理系な学生たち。おなかいっぱいになると一緒に、頭の中があの時で一杯になる。

ああ、このまま自転車で深作のアパートや研究室に帰れそうな気がする。



いや、違う。あの日に戻りたいわけではない。
ああいう時間をまた作る。そういうことが大事なのだなあと思った。鬱蒼としていた心が少し晴れた。