決戦 〜古本編〜
部屋の片づけをする。
夫婦で、要らない本を売ってしまおうという話になる。
「これはいらない、これもいらない…」
とスムーズに事は進んでいた。
だが、その時は、起こった。(ここらへんから田辺トモロヲwith中島みゆきのテーマ)
「お前のベルサイユの薔薇、売ってしまおう。」
「なによ、あんたのあずきちゃん、いらないわよ。小学何年生?」
「その少女漫画はいらない。」
「じゃあ、その天使なんかじゃないもいらないわね。」
戦いは10分ほど続いた。
疲れた。
無益な戦いだった。
それから、二人はお互い賞賛する漫画をよみあさった。
愛くるしい漫画たちに最後の別れを告げ、紙袋に詰め込まれた漫画は古本屋へと、搬送された。
「横山様」
古本店員の声が響く。
算出された買取表をみて、愕然とする。
その夫婦が争い、結局救ってやれなかった数々の思い出深い漫画たちは
「買取の価値 なし」
と、そこには書かれていた。
先ほどの無益な争いを反省し、二人は友情にも似た握手を心の中で交わすのだった。